尾道三部作【時をかける少女】

#つづき(5.4)

#JR山陽本線・広島行き車内にて.

まだ足の感覚がおかしい。
やはり朝食べたメロンパンひとつだけで、山登りはきびしかった。
現在、13:28。先ほど尾道を離れた。
もう胸がいっぱいになったからだ。

WEWEB日記7周年&『僕らのドラマ』開設5周年記念メモ旅行
尾道三部作【時をかける少女】

尾道駅を降りてからはひたすら歩き続けた。
昨晩印刷した尾道ロケ地マップに数カ所書き込みを加えた
一枚紙を持って、ひたすら坂道、そして路地をまわった。
一般の地図に記載されている道といえば、車が通る道という
イメージだが、この尾道は坂の上にある道はほぼ路地。
迷い込んで何度も普通の家の玄関前についてしまった。
一般道なのか普通の家の玄関までの道なのかは、その路地に
入ってみなくては判別が難しい。
ただ地図を眺めていただけでは目的の場所まで辿り着けない。
とにかく進む。行き止まり。
猫に睨まれる。戻って隣の路地に入ってみると玄関口。
お婆さんが出てきてご挨拶。
分け入ってはニャー、分け入ってはこんにちは。
たぶん「アリス・イン・ワンダーランド」に近い体験を
しているような気がする。まだ観ていないが。
あちらは3Dメガネでジョニーデップに会えるが、
こちらはリアル。
現実世界で犬に吠えられる。2000chサラウンドくらいの
大迫力である。

そうこうしているうちに、ロケポイントはいくつか回れた。
いくつかは見過ごした。
ただ一箇所、このロケ地だけは誰にも譲れない場所がある。
テレ朝的には「絶対に負けられない戦い」である。
それは尾道の港町を一望できる何だか岩っぽい所だ。
どの映画のどのシーンかは忘れたが、
あの岩から見えた景色を私はずっと追い求めていた気がする。
港、街並み、坂道、山々、広がる海、そして空。
この景色をもとめて、鎌倉・長崎・神戸と渡り歩いてきた。
どの景色も素晴らしかった。ただどの景色も尾道ではなかった。
やはり本当の尾道のあの景色を岩っぽい所から眺めるまでは
死ねないのである。
話が大きくなりすぎたが、そのくらいの思い入れが
あの景色にはある。
どの映画のどんなシーンかはまったくおぼえてないのに。
昨晩インターネットで調べ、どうやら浄土寺の奥にある
“不動岩”があの岩らしい。
この不動岩を尾道の最終目的地とした。

浄土寺。その奥へと進んでいく。
今までは観光客が結構いたが、この奥の細道には
ほとんどいない。穴場スポットなのか。
るるぶやまっぷる、ことりっぷを読んでも、
不動岩情報は載っていなかったと思う。
確かに、グルメ・ファッション情報が満載な本には
載せてはいけないような気がする。
なぜなら、ここは完全に山道だからだ。
奥の細道は途中から「階段…かもしれない」とか
「階段…なのかな」とか「階段…まちょっとは覚悟しておけ」
的な関白宣言級の道まで出てくる。
徐々に不安になってきた。

そういえば「尾道に行ってくる」と誰にも伝えていなかった。
今、私が尾道にいることを知っているのは、JR西日本のICOKAの
履歴のみだ。
尾道で消息が途切れた男が、よくわからない奥の細道で遭難して
いることを誰か気付いてくれるだろうか。
そうか、携帯電話。電波は届いている。よし、いざとなったら
GPS機能で見つけてくれ。ドコモよ。せめて骨だけは。
尾道の海にさっと散骨してほしい。
もしくはオーストラリアのエアーズロックの上がいい。
その時はぜひBGMは平井堅でお願いしたい。歌は瞳がとじそうな。

だいたいエンディングテーマまで決まった所で、
巨大な岩に出くわした。
岩の表面には不動明王様が彫り込まれている。
不動岩の不動ってもしかして。足は自然と駆け上っていく。
ぐるっとまわった先はやはり岩の上に通じる道になっている。
近づいてくる。20年越しのあの景色。
「ozy-が 尾道のあの岩の景色と 出会った」
突然、下條アトムさんのウルルン・ナレーションが入り込む
くらいのスローモーションな出会い、いや再会だった。
岩の上に柵があってよかった。
勢いあまって、崖から真っ逆さまになるところだった。
そして私は骨となって尾道の海に、もしくはエアーズロックから。
平井堅にのせて。そんな映画を作らずにすんだ。

今の私にピンクのジャケットを着せたら、
完全に林家ペー師匠の生き写しくらいの勢いで
カメラのシャッターを押していると思う。
景色に精気を吸い取られ、スッキリして帰ろうと思ったら、
まだ登り方面に道があるではないか。
ここまできたら行くしかねぇ。
少年ジャンプっぽい展開に胸躍らせて駆け上がる。
いた。
展望台。そこからはしまなみ海道の島々、
尾道駅方向とは反対側の岡山方向の港まで、
360°眺めることができた。
ただ、不動岩からの景色の時に受けた感動の余韻は
いまだに残っている。


あれ、広島過ぎた?
キョロキョロしていたら「次は広島」という
車内アナウンスが流れた。
あぶない。私はいつでもギリギリだ。


(2010年5月5日) ozy-
#137


##つづく(5.8)



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